東京大学スポーツ先端科学連携研究機構は、2016年に設置された東京大学スポーツ先端科学研究拠点が2020年に改組され、連携研究機構として新たに設置された全学研究組織です。この組織の設置理念は、スポーツをキーワードとして東京大学が有する先端学術・技術を結集し、その成果を近未来の人類が直面する超高齢化社会の課題解決に資することにあります。日本社会は超高齢化において、世界の最先端を走っていると言われています。その意味で人類が未だ経験したことのない高齢化に関連する様々な難題に真っ先に直面することになります。
スポーツは人類が想像した大切な文化です。そこにはスポーツ特有の様々な魅力があり、上記の社会問題解決に様々な形で貢献することが期待されます。当組織が東大内に立ち上がった際に想定以上に多くの研究室が参加を希望されたことは、スポーツが多くの研究領域において魅力ある研究対象、研究フィールドであることを物語っています。
連携研究機構への改組は、図らずも新型感染症の全世界的パンデミックの最中となりました。この間、私たちの生活は急速にオンライン化・サイバー化が進み、ポストコロナ社会は、以前の姿から大きく変容することが予想できます。この革命的な社会の変革に直面している今、私たちの心と身体が少なからぬ影響を受けていることもまた明らかです。言い換えれば、心と身体の状態を最適化することが今まで以上に困難な時代を迎えたといえます。スポーツ・身体運動を研究対象とする当機構がこの状況下で果たし得る社会的使命はさらに大きくなったといえるでしょう。
さらに、当機構の特色である多様な専門領域の研究者の融合は、これからの社会が目指すダイバーシティ化の促進にも有効に機能することが期待できます。例えば、これまで見過ごされがちであった障害がある人の二次障害問題は、医学的アプローチにとどまらず、障がい当事者研究の専門家、障がい学、リハビリテーション医学、運動生理学、情報工学、都市工学などの専門家が結集して取り組むことで、課題解決のみならず新たな研究領域、学理、そして市場の想像をもたらす可能性があります。それによって、障がいの有無にかかわらず誰もが参加できるスポーツの創造につながり、スポーツを通じたダイバーシティ社会への貢献へとつながることが期待できます。これら創造的学術の発展は次代を担う若手研究者の育成と相まって進められることで従来のスポーツの科学を超える次代の新たなスポーツ関連科学が創出される、そのための場の提供も当機構が果たすべき使命と考えています。
最後に私たちの取り組みは、学内外を問わず、産官学および地域社会との連携によってはじめて、実効性のある社会還元・社会実装につながると考えます。私たちの取り組みにご興味を持っていただける方々との共同研究を大歓迎します。広く門戸を開いていますので、お気軽にお問い合わせいただけましたら幸いです。
委員長 | 野崎大地 | 教育学研究科 | 教授/機構長 |
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委員 | 真船文隆 | 総合文化研究科 | 研究科長 |
委員 | 中澤公孝 | 総合文化研究科 | 教授 |
委員 | 内山融 | 総合文化研究科 | 教授 |
委員 | 工藤和俊 | 総合文化研究科 | 教授/副機構長 |
委員 | 田中栄 | 医学系研究科 | 教授 |
委員 | 緒方徹 | 医学系研究科 | 教授/副機構長 |
委員 | 加藤泰浩 | 工学系研究科 | 研究科長 |
委員 | 高木周 | 工学系研究科 | 教授/副機構長 |
委員 | 中嶋康博 | 農学生命科学研究科 | 研究科長 |
委員 | 山本義春 | 教育学研究科 | 教授 |
委員 | 楠原洋之 | 薬学系研究科 | 教授 |
委員 | 斎藤毅 | 数理科学研究科 | 研究科長 |
委員 | 割澤伸一 | 新領域創成科学研究科 | 教授/副機構長 |
委員 | 須田礼二 | 情報理工学系研究科 | 研究科長 |
委員 | 竹内昌治 | 情報理工学系研究科 | 教授 |
委員 | 暦本純一 | 情報学環 | 教授 |
委員 | 井元清哉 | 医科学研究所 | 教授 |
委員 | 金範埈 | 生産技術研究所 | 教授 |
委員 | 山中俊治 | 生産技術研究所 | 教授 |
委員 | 白髭克彦 | 定量生命科学研究所 | 研究所長 |
委員 | 稲見昌彦 | 先端科学技術研究センター | 教授 |
委員 | 渡部俊也 | 未来ビジョン研究センター | 教授 |
委員 | 田浦健次朗 | 情報基盤センター | センター長 |